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In memoriam 村川千秋

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 山形交響楽団の創立名誉指揮者 村川千秋が6月25日、肺炎のため亡くなった。享年92。
わずか1ヶ月ほど前、5月18日に出身地である山形県村山市で行われた「ユアタウンコンサート村山公演」への出演が最後となった。

 1933年、山形県村山市生まれ。終戦後、山形市で初めてのクラシック演奏会となった近衛秀麿指揮 東宝交響楽団(現東京交響楽団)の公演を鑑賞、高校生にして初めて触れた本格的な生の音楽に感動して音楽の道を志す。東京藝術大学作曲科にて、池内友次郎に師事。1963年に渡米し、インディアナ大学大学院で指揮を学び、助手としても勤務。その後、ニューヨークでストコフスキーに師事。また、シベリウスの娘婿である指揮者ユッシ・ヤラスからシベリウスの解釈を学ぶ。以後、ライフワークとして取り組んでいく。

 1966年に帰国し、東京交響楽団を指揮してデビュー。その後、日本フィル、札幌交響楽団など国内の主要なオーケストラを数多く指揮。
 1971年、「ふるさとの山形にオーケストラを」と呼びかけ、翌1972年、東北初のプロオーケストラとして山形交響楽団を創立。音楽監督兼常任指揮者を務め、2001年には創立名誉指揮者に就任。
 
 「子どもたちに音楽のミルクを!」という村川の想いのもと、山形交響楽団が県内の学校を訪問し、子どもたちに生のオーケストラ演奏を届けるスクールコンサートは、創立以来今日まで継続している。その数は、5,400回を超え、延べ300万人の子どもたちに生の音楽を届けてきた。今では県民のほとんどが一度は山響の演奏を聴いているというほど浸透している。

 1995年からは、「北欧の作曲家シベリウスの音は、東北という北国に住む私たちの心情、鼓動に合うのではないか」と、厳寒期である毎年1月に、シベリウスの交響曲全7曲の演奏に取り組んだ。

  2023年以降、90歳を超えてもステージに立ち続け、力強く魂のこもった指揮で観客を魅了し、衰えることのない音楽への情熱を見せていた。

2024年5月26日、ユアタウンコンサート 村山公演のリハーサルにて

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